農業では同じ土地で作物を栽培する。
永年耕作してきた畑では、作物の種類によっては生産性が年々劣るようになる。
この原因は何か???

リービッヒの最少律。
ドベネックの桶。
植物必須元素16.

近代の農業は、上記の3大理論が根幹にある。
近代無機化学農業である。
この理論は当然・・・同じ植物栽培だから園芸、原種栽培にも導入された。
ラン栽培にも導入された。
ナドソンのラン無菌播種、メリクロンにも導入され大成功した。
今ブームの植物工場にも導入されている。
宇宙ステーションでの植物栽培にも・・・導入される。

この栽培理論から、土壌分析して土壌の成分を診断して、足りない成分を補うことが考えられた。
オリンピックのドービング分析。
50mのプールに1滴の薬を混ぜたものでも検索可能という。
こういう分析を土壌で行えば、土壌を今の姿を的確に診断できるというものである。

植物必成元素16.
不足すれば欠乏症が出る。
人間のビタミン欠乏症と同じ理屈である。
人間の脚気。
ドイツのコッホは「病原説」を取った。弟子の森鴎外もこの説をとった。
日露戦争で日本の多くの将兵は脚気に倒れ死亡した。
しかし病原菌ではなくビタミンが原因であった。
植物でもこういうことが起こるのである。


そういうことでラン栽培の用土を分析。
PHが重要????
そういうことでPH調整をクエン酸で行いPH5,5からPH6,0にする。
こうするとランは良く育つと考えてきた。
しかし、これで根腐れ、生育の問題を解決出来なかった。
視点が異なるのである。
この分析栽培には・・・ランが「菌根植物」であるという、根本が削除されているからである。
前記したように土壌分析には、土壌内、植物体内に生息する菌分析が削除されている。
宇宙にも似た土壌の世界、微生物の世界の、一部分を切り取ったに過ぎない。
最も重要な内生菌が・・・・分析されていないのである。

地球上の植物80%以上は前記したように枯れ落ち葉、植物死骸の中に生きている。
しかし、これまで、この中に生きている菌、内生菌を詳しく分析したものはない。
更に、この中に生きていている生物のネットワークについては、
ほとんど手が入れられていない未知の領域である。
こういう領域が身近にあるのである。
人間でいえば・・・・胃の中にピロリン菌が生息し、胃潰瘍、胃癌に関係があることすら、
つい最近まで未知なことであった!
血液をいくら分析しても・・・胃潰瘍。胃癌の原因がつかめなかった!
菌の世界のものだったのである。
ラン栽培においても、いくら用土を分析し、排水、保水、給水、多孔性・・・を分析しても、
根腐れを防止する決定的なものではなかった!
積雪地帯に自生するシュンランは・・・半年間も雪の下で湿度100%でも根腐れは起こらない。
ぜか????

ランの中でこれまでの用土でもっそも激しく根腐れするベトナム原産のCymbidium エリスロステルム。
このランがラン菌が生きているSUGOI-neで無造作に作れる!
これは何を意味するのであろうか。
ラン菌以外のことは考えられない。
SUGOI-neの成分分析しても、これを説明できない。
共生菌の問題だからである。
水ゴケ、バーク・・・が劣化すると根が腐る!
物理的、化学的な変化が、鉢内に生息する菌の種類を変える。
ラン菌の生息しない水ゴケ、バークなどでは、肥料を与えたことでランに不適合な嫌気性菌が繁殖する。
そういうことで鉢内は、自生地は全く異なる菌世界が広がる。
菌の繁殖は早い。
短時間に鉢内は悪玉菌が????・・・・・蔓延することになる。
微妙な性質を持つ菌根植物は、この変化に耐えられない。
根が死ぬことになる!
根腐れというが・・・・これは根が死ぬことである!
水に責任を押し付けるが、水ではなく菌の世界である。「
これに肥料が絡んでいる!
自生地にない別な菌の世界が鉢内に出現したのである。

光独立自養植物であっても、ほとんどの植物は根に内生菌を持っていることが解かってきた。
人間もビフィズス菌を飼っている。乳酸菌を飼っている。
パンダは竹を分解できる菌を胃に飼っている。
リービッヒが無機栄養説を発表してから約150年経った。
この期間は無機栄養説で農業、園芸、植物栽培は進んできた。
食料の増産は行われた。
しかし、大変なスピードで農地は荒廃し、砂漠化が進んでいる。

土壌分析から植物を見たとき、特異な・・・動物のパンダのような植物があると観察された。
それは岩床が石灰岩、蛇紋岩のエリアに自生する植物群である。
土壌は岩石が風化して出来るものだから、このエリアの土壌は石灰岩、蛇紋岩の成分を、
他の土壌より多く含んでいる。
当然このエリアには多くの植物の種子が風、動物・・・などによって運ばれてくる。
この植物の中からこの土壌で生きられる植物のみ生育し子孫を残し自生地となる。
この姿から石灰岩植物、蛇紋岩植物という名称を与えられる。
しかし、植物はパンダのような動物と異なる。
植物が好き好んでこの貧しい栄養の地に移住したのではない!
他の植物がこの貧しい炭素循環の地では生きることが出来なかったのである。
石灰岩の石灰、蛇紋岩の特異な成分を好きなのではない。
ここで細々と自生する石灰岩植物、蛇紋岩植物も・・・炭素循環の豊な地でも生存可能なのである。
石灰岩、蛇紋岩エリアにも貧弱であるが枯れ落ち葉、植物死骸があり、
そこには必ず掃除屋・・・材木腐朽菌が生息しているのである。
土壌分析は・・・ここでも菌は削除され、岩床由来の岩石成分に視点が置かれてきた。

日本海の海岸の岩に自生するスカシユリを地元では「岩ユリ」と呼ぶ。
石灰岩植物、蛇紋岩植物も・・この岩ユリの呼称と同じである。
スカシユリは岩を好きなのではない。
岩の裂け目、窪みに堆積した枯れ葉、植物死骸の炭素循環で生きているのである。

ラン科植物が石灰岩、蛇紋岩エリアに・・・なぜ自生できのか。
菌根。
ラン菌。
ラン科植物以外でも、このエリアに自生する植物は内生菌を根に飼っている。
これは貧しい炭素循環エリアでは光合成のみの養分では生存できないということなのではないか。
この貧しい栄養と、短時間の光合成は植物にとって同じ意味を持つのかもしれない。
例えば「カタクリ」「イチリンソウ」・・・。
早春の花である。
他の樹木、草が葉を出さないうちに・・・早春の太陽の光を独り占めし、
花の後・・・5月には葉を枯らして休眠に入る。
この短時間の光で、生きるための充分な養分をつくり出すことは出来ないのでないか。
それでもカタクリは「カタクリ粉」と呼ばれる「澱粉」を貯蔵している。
自生地を見てみよう。
カタクリの自生地には枯れ落ち葉が分厚く堆積している。
イチリンソウの自生地も同じである。
この枯れ落ち葉には・・・・材木腐朽菌のカタクリチャワンダケ、アネモネチャワンダケが生息している。
貧しい栄養エリアに自生するツツジ科植物も菌根植物である。

しかし、農業では「菌根」植物が取上げられることはほとんどない。
植物工場の開発者は・・・植物は植物工場で作れるという。
しかし、この人達は、植物に菌根植物があること、ランに葉の持たない「腐生ラン」があることを削除している。
土壌分析では菌根植物に全貌に迫ることは出来ない!
近代無機化学農法では菌根植物を説明できない場面が出てくるからである。
連作の問題も、土壌病害もそうであるが・・・内生菌、共生菌の問題だからである。

21世紀は
内生菌分析による農業、園芸、植物栽培が普及するようになる。
現在は植物の共生菌はほとんど未知の領域であるが・・・・・
植物工場で植物全てを語り説明できるものではなく、
植物工場全体を、人の出入りを無菌状態で維持できないので、必ず病害菌の侵入が行われた時、
植物工場には自浄作用がないだけに、人為的な消毒が必然的になる。
宮崎県の口蹄疫病の例を見れば明らかなことである。
国宝の高松塚古墳の壁画がクロカビ菌に侵されたのも・・・・菌が目に見えないだけに・・・。
菌が目に見えないだけに・・・内生菌分析の研究は遅れた。
ラン栽培の難しさは、この盲点があるためである。




土壌分析と内生菌分析
                     ランの根腐れの原因
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